⑦「ぼろ原石」にはわけがある

30前後の頃、東京で働いている友達が、5000万とか6000万とかのマンションを見に行っていると聞いて、驚愕した。
福岡は人口150万人とそこそこの都市だが、中心部からドア・トゥ・ドア1時間圏内でも2000万円前半で買える。少なくとも私が住んでいた頃は買えた。

今はさらに不動産の値段が上がっている。私は今住んでいる場所に「遠い」「不便」と散々文句を言っている。東京で晩御飯を食べて、午後10時過ぎの電車に乗ると、座っている人は8割寝てる。それでもこの辺りの新築マンションは、福岡のかなり便利な場所に建つマンションと同価格だ。

私が学生時代に住んでいた中野、高田馬場といった地方の人でも聞いたことがあるような場所は、50平方メートルでも5000万円超えるし、55平方メートルなのに3LDKとかいう間取りになっている。

そもそも、夫が希望する「通勤40分以内」「駅徒歩5分」には新築どころか築浅物件もあまりない。古いビルに囲まれた古いビルしかない。

もっとも、夫は便利さのためなら、新しさ、広さを犠牲にできるようで、元々リフォームがしたいので、ぼろければぼろいほどいいと言っている。
私も、昔新築物件を買って、「家を買う」行為に一通り満足したし、家で過ごす時間がそれほど大事でないので、狭くても古くても気にならないことが、中国生活でよく分かった。
家探しというかなり大きな買い物で、夫婦の意見がおおむね一致する点はありがたい。

ということで、私たちは「ぼろ原石」(ぼろいが、便利な場所にある)を合言葉に中古物件を見始めた。

最初に訪ねたのはネットで見つけた築35年の中古マンション。夫本社まで地下鉄で10分ちょい。駅徒歩5分。マンションの隣には東京でも有数の桜並木が連なる川がある。

電話で内覧できるか問い合わせた際、業者さんが言った。
「ネットには出していないことを最初に申し上げておきます。こちらは住んでいた方が部屋で病死されまして、2日後にご家族に発見されました。そういうことをご了承いただければ…」

この後、中古めぐりをしていく中で分かってきた。
「ぼろ原石にはわけがある」というか、売り主さんの人生が凝縮されている。

だいたい、私たちが探しているような立地のいい場所は、よほどのことがないと、売りになんて出ないのだ。
続く





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