次の場所に行かないと①

私は女子高出身なので、母親になってから当時の同級生との付き合いが復活し、そこで、「夫や子供たちとの生活」について話を聞くようになった。
私は卒業した大学と就職した会社が男ばかりだったので、そこでは「男が家庭以外の場所で何をしているか」をつぶさに見てきた。
私は自身の収入のみで子供を扶養しているので、自分を守るために、あらゆるお得情報に詳しい。
私は一貫して独身なので、一応婚活市場の参加資格がある。
私は中国に長く住む日本人なので、日本ではチャイナドレスを着て中国を語り、中国では呼ばれたセミナーで浴衣を着て日本文化を語る。

私だって帰属感を求める一人の人間なので、どこかに腰を落ち着け一息つきたいいう気持ちは常にある。
が、自分が収入を得るうえでの最大の強みが「あらゆる世界に片足をひっかけていて、遠くも近くもない距離からいろんな世界を見て、説明できること」だと、何となくそんな自覚がある。
どこにいても感じる「所在なさ」「収まりの悪さ」は、今の私に必要なコストなのだろう。

数か月前、ガムテープを買うために近所の文房具店に入った私は、テープが積み上げられているコーナーをすぐに見つけ、そこに幅広のテープがなかったので、レジのおっさんに聞いて、倉庫から持ってきてもらった。
おじさんを待っている間に、「あ…」と気付いた。
ほんの少し前まで、中国の文房具店は私にとって新鮮な場所だった。ほしい物があってもなくても、どんなに小さくても、そこは退屈しない場所で、いろんなコピー商品を見つけたり、値段を確認したり、買い物に来る親子連れを見たりして、15分くらいはあっという間に過ぎた。

けれどガムテープを買った日、私にとって大連の近所の文房具店は、子供時代にいつも行っていた文房具店と変わらない場所になっていた。
次の場所に行かないと、次の場所に行かないと。
そこがどこか分からなくても。





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